蒼沼シズマ先生インタビュー『復讐の天秤〜お前が選んだ地獄に堕ちろ』

大好評連載中!『復讐の天秤〜お前が選んだ地獄に堕ちろ』は、 学生時代に同級生たちから過酷ないじめを受けていた主人公・志郎が、母親への陵辱を機にいじめっ子たちに復讐を誓う青年マンガ作品です。愛する人か自分か、復讐の天秤が傾く先を敢えて相手に選ばせる志郎。作者・蒼沼シズマ先生が考える、志郎の行く末とは……?本作について、たっぷりとお話を伺いました!
今回のインタビュアーは、担当編集のSです。
まずは、蒼沼シズマ先生が漫画家になったきっかけを教えてください。
子どもの頃からずっと漫画家になるのが夢でした。大学を卒業後に上京して、漫画家先生のアシスタントになり、しばらくして自分でも連載を持つようになって漫画家デビューしました。
影響を受けた作家さんや作品などはありますか?
永井豪先生や石川賢先生の作品が大好きで、初めて読んだ時は感銘を受けました。永井豪先生は『ハレンチ学園』をはじめ、初期はお色気系のコメディ作品が多く、その影響で自分もコメディ寄りの作品を描きたいなと考えていました。
『復讐の天秤』について、本作は初挑戦となるサスペンスジャンルかと思いますが、連載をしてみていかがですか?
とても楽しいです!サスペンスにおけるキャラクターたちの心情や心理描写は、今までの作品とはまた違った面白さがありますね。
本作のお気に入りのキャラクターと、そのキャラクターを描く上でのこだわりを教えてください!
今のところ、志郎と蔭山の二人が気に入っています。志郎に関しては、彼がやっている「復讐」は結局のところは悪いことだけれど、それに対して自覚があるかどうかが重要だと思っています。志郎は復讐なんて本当はしたくないけれど、復讐をしなければ前に進めない。その葛藤が、描いていてとても楽しいです。
また、志郎は成長してからチートな部分があるのも気に入っています。少年時代の志郎は蔭山たちにいじめられっぱなしで弱かったですが、青年になってからは確固たる信念を持って強くなりました。成長するにつれ弱い主人公から強い主人公に変わり、復讐を果たそうとしますが、それでも復讐に酔ってはいないんです。そんな志郎が私自身とても気に入っています。
対する本作のヒールである蔭山はいかがですか?蒼沼先生は、悪役を描くのがお好きだと以前にお話ししていましたが……。
私の好きな悪役は、悪いことを心の底から楽しんでいる奴で、「本当はこんなことをしたくないんだ!」と、どこかで葛藤している悪役よりも、相手が泣いて苦しんでいる姿を見るのを楽しむ確信犯な悪役が好きなんです。正義のために悪を成すのではなく、ただひたすら快楽としての悪を貫くタイプですね。蔭山はそういったキャラクターにしたいと思っています。そして、「なぜ蔭山がそれを楽しいと感じるのか」まで、しっかりと作品の中で描けたらいいですね。
漫画制作の作業工程で、蒼沼先生が一番大変だと感じるのはどういった部分でしょうか?
どの作業も大変ですが、一番はネームですね。画面構成が単調にならないためにはどうしたら良いのか、メリハリをつけるのにいつも悩んでしまいます。というのも、そのエピソードでどこを一番に伝えたいのか、見せ場となるシーンは迷わず思いつくんです。第2話で言えば、背景に天秤が現れ、志郎が復讐を決意するシーンですね。ただ、一番描きたいシーンに行き着くまでの道筋や過程を考えるのは毎回大変で、ものすごく時間をかけています。
本作を描くにあたり、アイデアはどのように思いついているのでしょうか?何かヒントになる作品などはありますか?
横溝正史先生や京極夏彦先生など、本格派の推理サスペンス作品が好きで、それらに登場するキャラクターの行動や心情を参考にしながらキャラ造形をしています。横溝正史先生の作品で言えば、小説はもちろんのこと、市川崑監督の映像シリーズ5作品を含め、自分の中で大きな軸になっていますね。
作品づくりに行き詰まったときにも、そういった昔の映画やドラマ、アニメを観て元気をもらっています。私はお気に入りの作品を何度も繰り返し観るタイプなので、それこそ市川崑監督の金田一シリーズは何十回、何百回と観ています。
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします!
主人公の郷志郎くんは、これから地獄の旅路を歩み、たくさんの辛苦を味わうことになりますが、その道のりには彼なりの物語があり、苦しみの先で終局を迎えます。その終わりは決して悲劇ではなく、彼がやってきたことに対する「答え」がハッキリと出るように描こうと、既に心に決めています。そして、志郎の周りにいる人たちに関しても、そう描きたいと思っています。悪が勝利して終わるようなことはないので、安心して本作の行く末を見守っていただけたら嬉しいです。
インタビューを通し、本作に秘めた想いを語っていただきました。
蒼沼シズマ先生、ありがとうございました!
志郎の復讐劇がどのような結末を迎えるのか……。
今後もぜひご注目ください!
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