インタビュー

ワタナベチヒロ先生インタビュー『お人形さん』

現実の社会問題をベースにしつつ、心霊的な要素も組み合わせ、
シリアスな展開と複雑なドラマ性が魅力の作品「お人形さん」。
今作の作者:ワタナベチヒロ先生に、お話やキャラ創りの秘訣から、
先生の漫画家としてのルーツまで、赤裸々に語っていただきました!

インタビュアーの担当編集Hです!
まずはじめに、ワタナベさんの今までのご経歴を教えてください!

高校3年生の時に進路を決める中で漫画家がいいなーと思っていたのですが、
もし何者にもなれなかった時がカッコ悪いし、生活的にも怖いなと思ったので、
元々油絵をやっていたこともあり、その時は美大を受けようと思いました。

でも受験に落ちて、通っていた予備校でも受験の為だけの絵を描く練習、
というのが辛かったので、本格的に漫画家を志すようになりました。

そこからは一年ほどバイトしながら持ち込みをして、
別冊マーガレットでデビュー、その後、
ぶんか社のホラーMに行きましたが、休刊になったので、
ウェイブさんに来た、という感じです!

デビューが少女漫画というのは意外ですね!すごく驚きました!

でも、恋愛モノはちょっと苦手でした笑
私は実際の恋愛では、障害は必要ないと思っているタイプなので…笑

それに少女漫画にはある程度決まったパターンがあると思うのですが、
そのパターンから外れた話を作ろうとすると、なぜか変になっちゃって…笑

かといって王道にも行けなかったので…少女漫画は難しいですね!笑

自分も少女漫画の担当を持ってますが、確かに難しいですよね! 
でもそんなワタナベさんの少女漫画ちょっと読んでみたいです!笑
ではではワタナベさんが影響を受けた作家さん、作品などはありますか?

くらもちふさこ先生が大好きでした!
そもそも別マでデビューしたのも、くらもち先生がちょうどその時、
そこでちょっと変わった少女漫画を描いていたので、
自分も別マならそういうの描いてもいいのかなー…と
思ったのがはじまりです!でもそれはちょっと勘違いでしたが…笑

あとは手塚治虫先生も好きでした!
というのも親が手塚漫画しか買ってくれなかったので!笑
特にブラックジャックは1話16ページという少なさで
あれだけの内容をまとめていて本当に凄いと思います!
今の連載でも、少ないページ数で
まとめなきゃいけない時に意識したりしています!

なるほど!やはり手塚先生は神ですね!
では、現在ご執筆中の「お人形さん」ですが、本作が誕生した
きっかけと言いますか、どういうところから発想されたのでしょうか?

昔、ぶんか社で心霊ホラーを描いていた時にネタに詰まっていて、その時に、
実際にあった現実の事件の方が漫画より怖いなと思ったことがあったので、
ウェイブさんの方でも実際の事件を参考にした漫画をやってみようと思いました。

実際「お人形さん」で取り上げた事件でも、漫画で出した後すぐに
ちょうどそれと同じような事件が現実でも発生したりして、
しかもその事件が漫画をより上回ってくるようなひどい内容だったりするので…
読んでいただいている読者さんはしんどいだろうなと思います…笑
でも漫画の方は実際に誰かが死んでる訳じゃないので…!笑

それに「お人形さん」ではそこだけじゃなくて、心霊的な要素も混ぜて、
被害者を生き返らせて相手に復讐させたりもしてますからね…!
その部分がドラマを生んでいると思いますし、しんどい話のままじゃなくて
スッキリさせられるようにもしっかり作れているかと思います!


では「お人形さん」は少しホラー的な要素を絡めつつ、
現実の様々な社会問題を扱った作品になると思いますが、
ここにはワタナベさんの社会に対する訴えと言いますか、
何かメッセージのようなものも含まれているのでしょうか?

…ある!笑

最近は、その事件の内容だけで善悪を判断せずに、
どうしてそうなってしまったのか…?を考えることが大事だと思っていて、
作品の中でもそこが見えるように描けるよう意識しています。

参考資料として少年少女犯罪の本などをよく読むのですが、
加害者は家庭環境に何らかの問題がある場合がほとんどなので、
大きな事件というのは、そこまで過去にさかのぼらないと
やっぱり本当のところは見えてこないのかなと思います。



確かに「お人形さん」では、どうしてその事件が起きたのか?までを
しっかり描いていただいてますね!そこが本作の魅力になっていると思います!
ではワタナベさんは、後ろ暗い人間を描くのがとてもお上手だと思うのですが、
キャラ作りの秘訣って何かあるのでしょうか?

さっきのお話と重複するところがあるかと思いますが、
ポンっと出てきた変な人、という感じじゃなくて、
この人にも何かあったのかな…とか考えてキャラを作っています!

だって最近ってちょっと変なこと言ったり、したりすると、
すぐに炎上したりするじゃないですか!
でもなんでそうしたのかを、
想像力を働かせてもっと深読みした方が良いと思うんです。

例えば、子育てなんかでもよくあるのですが、
電車の中で騒いでる子どもを止めない母親がいたとして、
すぐ「なんで注意しないんだ!」とか考えちゃうと思うんですけど、
本当はその子どもが発達障害なので止めるとさらに騒いじゃうから
ほっておいている場合とかもあったりするんです。

そういう風に聞いてみないと実際のところはわからないのに、
正義感だけでSNSで非難したりすることって怖いなと思うことがあるので、
それをキャラ作りに反映させています!

まあ、それを漫画にしている私も私なんですが…!笑

なので逆に、ただ単に悪い人、
みたいなキャラを描くのは難しいなと思います。
そういうキャラがいることは良いと思うんですけどね!

なるほど…確かにワタナベさんの作品では、
完全にただ悪い人みたいなのはあまり見ない印象ですね!
そういう風にワタナベさん自身が考えているからこそ、
深みのあるキャラ造形ができているんだと感じました!


ところでワタナベさんの作品では、連載中の「お人形さん」だけでなく、
前作も前々作も、子どもが活躍するような作品が多くて、
その描写もとてもリアルですが、
子どもを描くということに何かこだわりがあるのでしょうか?

ありがとうございます!そりゃ私、子供いますからね!笑

こだわりかどうかはわかりませんが、
画的に可愛いので子どもを描きたい、という気持ちはありますね!

それにホラー漫画って案外
本当にストレートなグロい描写とかは見せれないですので、
そんな時は可愛い女の子にキャーキャー言ってもらえれば画になるから、
子どもを使っている、という意味もあるかと思います!

それと男の子っていうのも、お話で考えた時に、
危険なことや冒険させることができるといいますか、
純粋なので気持ちだけで行動させることができるなと思ってました。
でも最近は女の子でも活躍させることに違和感はないなと思っています。

子どもを描くのが好きなんですけど、「お人形さん」では
子ども出てくるとひどい目にしかあってないので申し訳ないです…。

いやいや!でも最終的には救われることも多いし…大丈夫ですよ…!
それに実際、ワタナベさんの描かれる子どもは
とても可愛いですから、それだけで読ませる力もあると思います!


では、ワタナベさん的に「お人形さん」の中で、
ここは頑張ったというポイントがあればお教えください!

なるべく女の子を可愛く描こうと頑張ってます!
それにホラーは背景も重要なので、背景も頑張ってますよ!笑

ただ、作画中は結構、頭が働いてないことが多いので…笑
表情間違ってたり、背景抜けてたり、服を忘れてたり…することが
よくあるので、ちゃんと指摘してくれたらありがたいです笑

それをチェックするのが僕の仕事ですので大丈夫です笑
じゃあこれからもズバズバ言っていきますね!笑


それでは、今後描いてみたいキャラやエピソード、
掘り下げたい要素などはありますか?
連載中の作品に関係ないことでもかまいません!

女の子がいっぱい出てきてキャーキャーやってるような
オカルトモノがやりたいです!ホラーなプリキュアみたいな笑

それ最高ですね!笑
「お人形さん」はたぶんまだまだ続きますが、
終わったら次はぜひやりましょうか!笑
では最後に、配信を楽しみにしている読者さんに一言お願いします。

読んでください!よろしくお願いします!読者さんが頼りです!
色々工夫して面白くしていきますので、読んでください!
それに尽きます!いつもありがとうございます!

ワタナベ先生、ありがとうございました!
今後も「お人形さん」の応援をよろしくお願いします!
これからの連載もぜひご期待ください!


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comic_info@wwwave.jp

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