インタビュー

長堀かおる先生インタビュー『骨の髄まで私に尽くせ。』

一度読んだらついハマってしまう中毒者が後を絶たない「骨の髄まで私に尽くせ。」。
その秘訣はどこまでもリアリティにこだわり抜いたキャラクター創りにあった!?
作者・長堀かおる先生に詳しいお話を伺ってきました!

今回のインタビュアーは担当編集のMです!
まずは長堀さんの今までのご経歴を教えてください。

美大を卒業してから、一度バイク屋さんに就職しました。
バイク屋さんでは、バイクのカスタムだけでなく、バイク屋のカタログを作ったり、
バイク屋が出している雑誌を編集デザインしてました。
その雑誌を作る時って、漫画でいうネームみたいなものが来るんですね。
この写真・この素材をここに入れて、こういう感じのデザインを何か考えて作って…とか。
自分も取材に参加したりしているうちに、
漫画だったら全部自分でできるのにな…と思ったのがきっかけでした。

じゃあそこから漫画の道に入られたんですか?

そうですね。それ以前も小さい頃から漫画好きで、
絵を描いたり簡単な漫画を描いたりはしてました。
実は学生時代に1回投稿もしていて、
少女漫画雑誌でちょっと良い賞がもらえたんですけど、
1回賞とってもデビューに至らなくて…。
打ち合わせを重ねるごとに何がいいのか分かんなくなって…フェードアウトしちゃったんですね。
それでバイク屋に…。

なるほど。そしてそこから漫画のアシスタント時代に入るんですね?

そうです。アシスタントやりつつバイトを掛け持ちつつ…ていう生活を10年ぐらいやっていました。
その間に結婚したり子供を産んだり主婦やったり…。
もう本当に漫画家デビューは無理なんだろうなって…。
このまま私は何がしたいんだろう…と思っていたところで、
ウェイブさんに拾ってもらいました。

では弊社での「骨わた」が漫画家としてのデビュー作になったんですね。
デビュー作でいきなりの大ヒット!素晴らしいですね!
率直な感想をお聞かせください。

いや~もう必死なので、実感がないです…。生きることに必死で(笑)
漫画を連載で描くのも初めてですし、
今まで年に1本も描いてないような年もあったしていたので、
漫画を描くことが習慣になってなくて。
漫画家志望なんだけど、ずっとアシスタントがメインだったので。

それで今では子育てをされながら、漫画を描かれているんですね。
苦労も多そうですが…。

ははははは(苦笑)
子育てと仕事の両立はやっぱり大変ですね。

逆に漫画を描かれる上で、お子さんがいてよかったと思われることってありますか?

やっぱり今みたいに子供産んだり主婦やったことがなかったら、
ああいう漫画は描けなかったと思います。
全然こう…切り口が違っただろうな…と。
「骨わた」って変なリアルさがあるってよく言われるじゃないですか、
やけに生活感があるって。



確かに、キャラクターに人間味がありますよね。
メインキャラはもちろん、サブキャラにも生きた人間感があるというか…。
ずばり、キャラ作りの秘訣って何かありますか?

普段からめっちゃ人を見てます。人間観察が趣味というか…。
そういうのがずっと蓄積されているので、それが漫画に活かせたらいいなって。
「嫌な人に出会ったらラッキー」みたいな(笑)

それがまさにさやかたちのキャラ創りに活かされているわけですね。
作品内でも、美奈子のさやかに対するコンプレックスだったり、
一樹がさやかといるときは指輪を外していたり…と、
キャラクターの言動がものすごくリアルですもんね。

美奈子のコンプレックスは本当に自分が体感しておりますので…。
男の子と手のサイズ比べられて「でかっ」って言われるっていうシーンとか。
それこそついこの前、漫画仲間の女の子たちに「かおるさん手でかーい」って手を合わせられて、
みんな私の第一関節くらいまでしか指がなくて、クッソこいつら…とか思いましたね(笑)
多分あちらは、指が長いとか手足が長いとかいう意味で褒めてくれてるとは思うんですが、
こちらはもう…すごいコンプレックスがあるので(苦笑)

私変なことばっか覚えてるんですよね。
変なところで記憶力が良いというか…小学校1年生の時にやられた嫌なこともずっと覚えているので。
そういう経験の一つ一つをキャラクターにさせているというか。



なるほど…。
では、「骨わた」と言えばドロドロな人間関係が見どころですが、
そういうネタの発想元も過去の経験からきていたりするんですか?

ネタの発想元…なんだったでしょう…。
そもそも私が「いじめレイプ」っていうシチュエーションがすごく好きで、
いつかちゃんと描きたいと思ってたんですね。あとやっぱり「依存」も。
この作品、なぜか復讐劇だって思われがちなんですけど、
これはさやかの一樹に対する「依存」なんですよね。
なんかそういう「悲しい共依存」が描きたかった…ってところから膨らませていった感じですね。

では、長堀先生的にここはこだわったな~!というポイントや、
お好きなエピソードがあればお教えください。

やっぱり私はミサが好きなので…。
ミサと一樹の学生時代のセックスシーンは、
すごく描いてて楽しかったしもっと描きたかったです。
大人しくて小柄な男の子と、ヤリマンのギャルの組み合わせが好きで!
オネショタが好きだってこともあると思うんですけど(笑)

今後描いてみたいキャラっていますか?
もしくは、今まだ動いていないキャラで今後動かしたいなってキャラとか。

動かしやすそうなキャラクターはちょこちょこ入れてますね。
一樹の後輩のちょっと敬語がおかしい男の子とか(笑)
やっぱりギャップのあるキャラクターを描いてみたいかなと思います。
あの係長の時の、めっちゃ地味なんだけど実は不倫してた女の子とか。
ああいうキャラは動かしやすそうですし、描いてて楽しそうかなって思いますね。
ちなみにさやかみたいなメンヘラはずっと描いてて楽しいです!
私も鬱々としちゃうんですけど(笑)

キャラクターに感情移入されて描かれてるってことですか?

すごくします!特に一樹にはすごく感情移入してしまって…。
一樹が吐きそうになるシーンを描いて、自分で本当に吐きそうになったりとか。
あの時は本当に下絵を描くのもペン入れをするのも辛くて…。
最近すごく一樹にメンタルを持っていかれてる気がします(苦笑)
一樹ってすぐ「うっ」ってなるじゃないですか。
あれを自分がやっちゃうようになってしまって…。
それで、あ~こういう時本当に「うっ」ってなるんだ~って気付いたりとか。

すごい…身を削って描かれてるんですね…!
そういうご自身も実際に経験されることで、
細かい描写がよりリアルになっていそうですね。

そうかもしれないです。
SNSでたまにエゴサーチすると、
さやかみたいなメンヘラっぽい子が、
「さやかが自分と同じこと言ってた」みたいに書いてくれていて…。
嬉しいっていうとその子に申し訳ないんですけど、
共感してもらえたっていう意味ではやっぱり嬉しかったですね。

さやかは本当にザ・メンヘラって感じで、
太ももにまでリストカット入っているじゃないですか、
そういうメンヘラっぽさの参考にしているものって何かあるんですか?

さやかは、今まで自分の周りにいた全員イニシャルがSのメンヘラ女子3人を、
掛け合わせてできたキャラです。

ええ!みんなSさん!?それで「さやか」ですか…!

そうです、みんなすごく可愛いんだけど危うい感じの女性で…。
やっぱそういう人たちを観察してたので。
元気ハツラツな美奈子とは正反対、みたいな。
男の人がハマる女性ってことに、説得力を持たせられたらいいなって思ってます。

確かに危うい色気はさやかの魅力ですよね。

漫画のキャラクターってみんな平均的に綺麗だったり可愛かったりするじゃないですか。
その中でもさやかは「危うさ」で他との違いを描いていけたらな…と思います。

最後に読者さんに一言お願いします!

更新が遅くて待ってくださってる方には本当に申し訳ないのですが、
これからも面白くしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

キャラクターに感情移入するあまりに、
ご自身にキャラクターがうつってしまう…というのは衝撃的でしたね!
長堀かおる先生、ありがとうございました!
今後ますます泥沼化していく「骨の髄まで私に尽くせ。」を皆さんお見逃しなく!


☆作品はこちら↓


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comic_info@wwwave.jp

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